伊集院静の「贈る言葉」

二十歳の君へ。働く君へ。すべては覚悟から始まる。

伊集院静の「贈る言葉」

ここしばらく、正月やら成人式やらテストやらで、なかなかゆっくり自分と向きあう時間が取れずに月日が経ってしまい、久々の更新になってしまいました…。

先日自宅のポストを開けてみたら、見慣れた文字で宛先が書かれた小包があって、なんだろう?と思って開けてみたんですね。そしたら家族からの本の贈り物だったのですが、ちょっとばかり考えさせられてしまいました。

2013年の決意や、新成人としての意気込みみたいなことも書きたいな、なんて思ってたところだったので、この機会を借りてその本の感想なんかをちらほら。

その本は、『伊集院静の「贈る言葉」

この伊集院さんというのは、1950年山口県生まれの作家で、直木賞や吉川英治文学賞等も受賞されている方です。僕は見たことがなかったのですが、2000年から2012年に毎年、1月(成人の日)と4月(新社会人の入社の日)にサントリーの新聞広告として、「二十歳の君へ。働く君へ。」というテーマで熱いメッセージを掲載していたみたいです。

毎年の彼のメッセージが書籍化され、それが手元に届いたのです。

家族からの贈り物には手紙つきだったので、さっそく読んでみたんですね。そしたら、それはそれは深く考えさせられました。

まずは、少し本文を引用しますね。

主張せよ。

髪を染めてもいいし、鼻にピアスをしてもいい。男がスカートを穿いてもかまわない。ファッションが主張なら、堂々と、社会のセンターラインを歩けばいい。私はそれを好ましいと思うし、若者らしい。

二十歳、成人おめでとう。本当におめでたいと思っているのか?成人になったことが、得か、損か?そんなもの損に決っている。大人がどんなに不都合で、窮屈か、今はわからないだろう。私も、こんなとは思わなかったが、数年後の実感だった。成人になると、もう聞かなくて済む言葉がある。

「子供は黙っていろ」である。

だから主張せよ、と私は言いたい。但し、これまでとは違って、猛攻撃を喰らうし、無視もされる。それでも主張して欲しい。やり込められ、理不尽を感じても、シュンとするな。

そんな時は、独りで静かに、もう酒が飲める。

ともかく徒党を組むな。連むな。大人は独りであることを知れ。

独りっきりで、静かに、精神を鍛え、反撃のチャンスを待て。

酒が友になることを祈っている。

(2000.1.10)

こんなメッセージが、2012年まで続いています。もちろん、言葉や表現は各年で異なっています。けれども伝えたいことは、全部同じなような気がしました。

読み終わった後にちょっとだけ、「成人」とはなにか、「大人になる」ってどういうことなのか、考えてみました。

僕は「大人になる」上で最も大切なことっていうのはきっと、「子どもの頃を忘れない」ことだと思います。年を重ねるにつれて、社会のルールとか周囲の目とか、金とか世間的地位とか、「自分がどう思うか」よりも「他人がどう思うか」が気になってきますよね。多くの人がそうだと思うんです。だけど子どもの頃って、誰でも欲しいものは欲しい!って床に手足をばたつかせながら主張したと思うし、将来は○○に絶対なる!って声高に目標を叫んでいたと思うんです。周りの目なんかいっさい気にすることなく、物怖じすることなく「自分の思うこと」を実行していましたよね。

何かをもらったり、してもらったら、大きな声で「ありがとうございます!」って言ったし、将来の夢は?って聞かれたら、大きな声で「プロ野球選手になることです!」って答えた。だけど子どもの頃にできていたそんな簡単なことが、大人になると実はできなくなってるのではないか。将来の夢はなんですか?なんて聞かれたら、現実が見えてきた大人達は口ごもっちゃうかもしれませんね。でもきっと、「大人になる」上で「子どもの頃を忘れない」ことが人生を楽しむ上で最も大切なことなんです。

なにきれいごとばっか抜かしてやがんだ。って思われても、全然平気です。だって子どもは簡単にきれいごと並べるでしょう?「僕がお母さんを守ってあげる!」とか、「お金持ちになっていっぱい募金する!」とか。そんなきれいごとひとつも言えないような大人にはなりたくないなって思うんです。

伊集院さんは言いました。成人はもう「子どもは黙っていろ」と言われないと。きっと、彼が言いたいことも同じだと思うんです。大人になったら、どんどん世界が広がって自分のちっぽけさがわかってくる。そんなときこそ、自分は何者か、自分はどんな人間なのか、それをじっくりと”独りで”考えて、はっきりと主張する。そしてまた、前に進めばいいと思うんです。

2013年、20代の幕開けです。これからどんな人生が待ち受けているのか、わくわくが止まりません。これからの目標は、まあいくつかありますが、それはまた今度機会があれば書けたらいいなって思ってます。

それから、テストが終わって春休みに入ったら、様々なイベントがありますがブログの整備を進めて、更新もたくさんしていきたいと思っています!

もちろん、いつもそばで話を聞いてくれる、相棒のバーボンと一緒に。

伊集院静の「贈る言葉」
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