アメリカ留学で学んだ、すべての英語学習者に伝えたいこと

Museum of Modern Art(MoMA)にて

Museum of Modern Art(MoMA)にて

1年間の交換留学を通して、改めて英語を学ぶってなんなんだろう?といろいろ考えました。

前提として、学問として学ぶ英語や達成目標としての英語と、生活するための英語は全く違うなと。僕が留学していた国はアメリカです。つまり生活するための言語が英語。完璧ではない英語で毎日過ごさなければならないので、相手の言っていることを理解しよう、そして自分の言いたいことを伝えようという意志が先行します。授業だって、電話オペレーターだって、銀行口座を開くのだって、学校の事務手続きだって、全部英語。旅行でちょこっと使う英語とはわけが違うわけです。

今日はすべての英語学習者に読んで欲しいことを書いてみたいと思います。

 

日本では絶対に身につかない英語

僕の場合、リスニング力が一番伸びました。常に英語の環境にいたので、耳はどんどん英語に慣れていったし、相手が言っていることを理解しないと会話すらできないので、何度も聞き返して恥ずかしい思いをしているうちに、いつの間にか聞き取る力はグンと向上しました。でもこれはきっと日本でもできる。

留学してよかったなと思うのは、あいさつ、会計の仕方、レストランでの対応などが身についたこと。

こういう日常パターンの英語は、現地でしばらく生活してみないとわかりません。「へー、こういう言い方をするのか」という発見の後、なんども繰りかえし間違いや恥ずかしい思いをして、「次こそは失敗しないようにしよう!」という意気込みのもと、また失敗をして、ついにできるようになるものなんですよね。独特のリズミカルなやり取りに慣れるまでは、だいぶ時間がかかりました。

こういう英語は、絶対に日本やフィリピン語学留学では学習できないな、と思いました。

 

コミュニケーションツールとしての英語とはなにか

誤解を招かないように断っておけば、ここでいう英語とは主にスピーキング・リスニングのことを差します。

ひとつ明確にわかったことは、英語力を高めるのは、相手と会話をしたい、言っていることを理解して、その会話に入り込み、自分も一緒に笑いたい、瞬時にレスポンスできるようになりたい、自分の言いたいことを100%正確に伝えたい、などの「意志」だということです。

以前ブルックリンのカフェでちらっと30代くらいの日本人観光客の男性2人組を見かけました。店員さんの

“Would you like dark roast or medium roast?” (深煎りとミディアム、どちらにしますか?)

という質問に、間髪入れずに

「ノーセンキュー、ノーセンキュー」

と連続で言っていたんですね。当然店員さんの顔は「???」という感じでした。同じ質問をゆっくり繰り返しても、やっぱり「ノーセンキュー」が返ってきます。

これは、相手の話を理解しよう、という「意志」が欠けているいい例です。はじめから、会話をしようとすらしていない。これでは英語は絶対に伸びません。

「相手と会話をしたい」という「意志」ベースの上に、英語が表現媒体(ツール)として乗っかているだけで、コミュニケーションに大事なのはベースの部分です。

 

英語を話したいけど話せない、勉強したいけど手をつけられない人の壁

だからいつまで経っても「英語をやりたい」と言い続けているだけで実行できていない人がいるのは、根幹になる意志がないからなんです。なんで英語を話せるようになりたいのか?なんで勉強したいのか?「○○できるようになりたいからだ!」という意志があれば、自ずと目の前の壁は低くなり、いつの間にか無くなっているはずです。恥じらいも消えます。

英語を学ぶ、ではなくて、英語で○○をする。その○○が無ければ、英語は絶対にできるようになりません。○○は別に、大きな目標で無くてもいいんです。飲みの席でがやがやしてても聞き取りたい、英語を噛まない、ナンパしたい、とか何でもいいんです。

AさんとBさんという人がいて、AさんはBさんよりも発音も綺麗で語彙力もあり、頭はいいのに、Bさんのほうが英語を話せているように周りからは見える。こういう例はよくあります。これはBさんの方には「意志」があるからなんですよね。「意志」があれば、それは確たる自信にも繋がります。

 

さいごに

普段日本語を話していて、日本語はコミュニケーションツールだ!なんて思っていますか?思いませんよね。英語もツールではないんです。会話で使っている言葉が英語なだけ。大事なことは、会話とは「意志」の上に成り立つものであることを理解すること。その感覚がつかめると、英語はぐんと伸びてどんどん話せるようになります。だって話せるようになると、飛び跳ねたくなるくらい楽しいですから。

そしたら、英語はツールだ!なんて考えすら消えてしまう。そしてまた次のステップに行けると思います。それは「表現を増やす」とか「ジョークを理解する」とか、単に「かっこいい英語」を話したいとか。僕は1年間かけて、この段階まで来ました。