書家の小杉卓さんに揮毫いただいた、大切な言葉

ヴィパッサナー瞑想中に、終わったらすぐに連絡しようと思った方の1人が書家の小杉卓さん。小杉さんは、マイクロソフトから独立して書家となり、東京・パリを拠点に各地での展示やパフォーマンスのほか、オーケストラとの共演や大学での講演など、『書』を軸として独特なアートの世界を繰り広げるアーティストです。

5年前くらいにお会いして、そこからTwitterやFacebookで常に活躍を拝見していました。パリで行われた、マツダ「魂動」のパフォーマンスの記事を見たときは鳥肌が立ちました。

今回小杉さんに連絡したいと思ったのは、ヴィパッサナー瞑想で繰り返し頭の中に浮かんできた言葉を忘れないように書にしてもらおうと思ったから。ご連絡したら快諾していただけたので、谷中のHAGISOでモーニングをすることになりました。

僕が書いていただきたいと思ったのは、以下の文章。

問題は いつも自分の中にある
越えるべき壁は いつも自分の中にある
常に 平静な心 を忘れずに

何度も推敲したのですが、わざわざ書にする必要ある?というくらい平易な文章です。でも、僕の中では背後にある意味合いが大切で、いつでも思い出せるようにしておきたかった。

小杉さんの作品は、大きな紙に力強い文字を思い切り書くという作品が多いです。一方で僕がお願いしたのは、平易な文章を淡々と書くというもの。正直に「漢字仮名交じりでこんなに長い文章は書いたことがない」とおっしゃっていたのですが、引き受けていただくことになりました。

どのような大きさの紙に、段落はどう区切って書くべきなのか、句読点はつけるべきか、どのようなレイアウトにするかなど、打合せの中で様々なことが決まっていきました。

小杉さんのノート

約1ヶ月後の先日、同じく谷中のカフェで作品を受け取ってきました。最初に開けたときは、想像以上にイメージに近く、力強くも自分に対して客観的に語りかけてくれるような素晴らしい作品になっており、一気に気持ちが高ぶりました。事前に下書きでレイアウトイメージをいただいていたのですが、やはり実物は重みが違いますね。

小杉さんからいただいた解説文がこちら。

『平静心』

齋藤さんの世界観の中から作品を作りたいと思いました。

『キレのある重厚感』。
この世界観です。

細くて、しかし直線的で重みのあるフレームの中に『平静心』&『問題はいつも…』という2つのメッセージを二層にまとめました。

背面の『平静心』は青墨で。しかしそこまで強い青ではなく、表のメッセージにしっかり馴染むよう、”限りなく白に近い青みがかったグレー”。和紙ではなかなかこのグレーが出せず、、そこで今回使用したのが水彩紙。いい発色です。

表のメッセージ『問題はいつも…』はしっかり濃墨で。読めないほど崩したり、コロッと可愛くまとめるのではなく、一字一字しっかり重みとしなやかさを感じられるように。

遠目に観るとしっかり『平静心』が観える一方で、近寄ると、グレーの『平静心』をベースにして『問題はいつも…』のメッセージが浮き上がります。

デスクに飾ってからしばらく経つのですが、見る度にヴィパッサナー瞑想のときに感じていたことが蘇ってくるような気がします。ふとした瞬間に、ヒントを与えてくれる。そんな拠り所が僕にもひとつできました。小杉さん、ありがとうございました!

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