「あっ、ただ見てるだけなんで…」の日本人

“What’s your name?”の外国人

 

今回はスマホ販売で感じる、日本人と外国人の違いをお伝えします。

 

ちなみになぜ僕がこの仕事を始めたかと言えば、単に時給が良かったから。その分ルールはなにかと厳しく、社員の方と全く同じ扱いをされるので、事務所への入り方や人事の方との面接など、まるでその会社に就職したかのような体験もできます。職場体験のひとつとしてこのような仕事はいいかもしれません。

 

韓国製を毛嫌いする日本人客が多い

まずはこれですね。こちらはオススメの機種を聞かれるので、数値的にも評判的にも間違いなくオススメの例えばSAMSUNやLGの機種を言及したとします。しかし韓国製と聞いた瞬間、「ああ、韓国製は眼中にないから却下。韓国嫌いだから。」というお客さんが非常に多いんです。年代は、30代後半くらいから年配の方がほとんど。僕の中にそういった判断基準がないだけに、これには驚きました。もちろん電化製品において韓国がますます発展しており、日本のメーカーが打撃を受けているぶん応援したくなるのもわかります。しかし、世界的に見ても携帯販売の大手三社はapple、NOKIA、SAMSUNと韓国が多くのシェアを占めています。いい物はいいという感覚しか無い僕にとって家電に政治的、経済的基準を持ち込む彼らには、「もはやそんなこと言ってる時代じゃないでしょう?」と、そう思わずにはいられなくなります。

 

外国人相手に絶対に目を合わせない

これは販売スタッフを観察しての結論です。先ほどにも言ったように、東京の家電量販店には本当に多くの外国人のお客さんが訪れます。びっくりするくらい多いです。当然こちらは従業員ですから、英語で話しかけられることも多々あります。でも、9割方話しかけられる人と話しかけられない人は決まっています。外国人のお客さんが来ると、英語に自信のないスタッフは真っ先に目をそらすのです。目をそらされたらなんだか話しかけずらくなっちゃいますよね。一般的に日本人は英語ができないと言われていますし、右も左もわからない彼らからしたらどうしたらいいのかさっぱりわからない。おかげであたりをきょろきょろする羽目になるという光景をよく見かけます。

反対に、英語を勉強したいと思っている僕なんかはがんがん目を合わせます。「来い、来い!」ってね。これぞ実践演習にもってこいのチャンスです。僕と目があったお客さんはほとんどの確立で声をかけてきます。周りが全然目を合わせてくれない中で、こんなにキラキラした目で見つめてくるスタッフなんてそうそういないのでしょう。あいつ英語できるのかも!って思うんでしょうね。そしてその質問はいつも素っ頓狂なものばかり。“Where can I buy a used ipad?” “My iphone has broken, can you fix? But I have to go back to Sweden tomorrow morning! Can you?” “I ordered an iphone5 two weeks ago in Shibuya au shop and they said they would call me as long as they got stocks but they never call me.. So I wanna buy a Android phone instead of the iphone…” こんな感じ。今までたまっていた質問を怒濤のように投げかけてきます。なぜかいつもapple製品関連が多いのですが、もうすでにたくさんの外国人の方とお話しています。そしてそれが楽しくて仕方ないんです。

 

“What’s your name?”を欠かさない

そして最後に必ず相手の(僕の)名前を聞いてきます。たとえ二度と会わないとしても。これは日本人にはない習慣だと思います。自分がお客さんの立場でも、いろいろな説明を受けた後に「名前なんですか?」なんて絶対に聞かないと思います。しかし彼らは、ほとんどの確率で名前を聞くのです。きっと習慣なのですね。ですから話もすごくしやすいし、打ち解けやすい。なかには1時間くらいずーっと世間話して終わったお客さんとかもいます。もちろん名義は「接客」という形で。僕にとってあれほど楽しい時間はないですね。お話ししてればお金が入るんですから。笑。お話業です。笑。そして笑顔で“Thank you! Whenever I come here, I will ask you again!”的なセリフを残して帰って行くのです。

 

最も多いのが中国人

今まで接客してきたお客さんには必ず出身を聞いています。アメリカ、ロンドン、パキスタン、インド、スウェーデンなどなど。しかし中でも最も多いのが中国人のお客さんです。ですのでこちらもスタッフの中には常に中国人の方が常駐しています。そして彼らには英語が通じないことが多い。中国語も話せるようになりたい!って思うのはこのときですね。学校では中国語を専攻していますが、使い道や目的が見いだせないとやる気が起きないというのが言語の勉強です。しかしこのように使う機会があると思うと、ますます力が入りますね。言語は使う機会があってなんぼだと思います。英語や中国語に興味がなかったり精が入らなかったりするのは、使う機会に出会ったことがないからなんです。

 

中国人スタッフを信用しない日本人

今現在の仕事に入っている僕のパートナーは、中国人の女性です。当然彼女は日本人のお客さんにも接客します。しかしごくまれに、こんなことがあるようです。日本人のお客さんに話しかけると、「あなた日本人じゃないですね、日本人のスタッフを呼んでください。」と返されてしまう。確かに彼女の日本語は完璧ではありません。しかし経験が長い分、商品知識や実績はかなり高いですし、非常に丁寧な接客をするのが彼女の持ち味です。しかしごくまれに(ごくまれにですよ)このようなことが起きる。当初はすごく落ち込んだそうですが、今となってはもうそのようなお客さんは相手にしなくなったそうです。なんだか悲しいことだなと思いました。人を国籍や見た目で判断するのは本当に穢れた心の持ち主です。広い視野と心を持てる人間になりたいものですね。

 

なんのためのTOEICか?

このように、日本でも英語を使う機会はたくさんあります。それゆえ今企業はほとんどと言っていいほど就職の際にTOEICのスコアなどを重視します。しかしこんなことがありました。あたりをきょろきょろするお客さんに、“What are you looking for?”と声をかけてみると、ソフトバンクの携帯を契約したいとのこと。あいにくソフトバンク担当ではなかった僕は、ソフトバンクスタッフに英語ができる人がいないかを聞いてみました。しかし、社員、派遣を含め誰も英語ができる人がおらず、やむを得ず近くのソフトバンクショップまで案内することになりました。英語ができない故にお客さんをたらい回しにして手間をかけさせてしまう。あれだけ「お客様第一主義」を掲げる家電量販店で英語ができないゆえに突っ返してしまうことがあっていいのだろうか?なんのためのTOEICか?ガラパコス化したTOEICとは、まさにこのことを言うのかもしれないですね。TOEIC(就職のための日本人向け読み聞きテスト)なら、すぐさまやめた方がいい、そんな気がしてならない瞬間でした。

 

結局、とてもいい経験をさせてもらっている、ということです。誰かの記事で読んだことがあります。「自分を減らすバイトでは無くて、自分を増やすバイトをしろ」と。今はなんとなく意味がわかる気がします。やっていて成長を感じられる仕事で無ければ、ただのお金稼ぎでなんのおもしろみもありません。どうせやるなら、僕みたいに英語の実践問題集として職場を利用するのもありだと思います。たくさんのことを吸収して、自分の経験となる時間を過ごせたらいいですね。

引き続きもうしばらくこの仕事を継続していくつもりですが、ますますあらゆるところに視野を広げて考えていきたいと思います。